コナンを見ていて、警察庁と警視庁、名前は似ているけれど何が違うの?
と思ったことはないでしょうか。
この記事ではコナン好きの管理人が、安室の所属する“警察庁”と目黒警部や高佐が所属する“警視庁”の違いと日本の警察組織の中での役割と機能について詳しく分かりやすく解説します。
※簡単にわかるよう、ざっくりと説明しているので、ツッコミどころがあるかもしれませんがその辺はご了承ください。
警察庁と警視庁の基本的な違い
警察庁(黒田管理官、降谷が所属)と警視庁(目黒警部や佐藤、高木が所属)。
この二つの組織は日本の警察組織において重要な役割を果たしていますが、彼らの機能と役割は大きく異なります。
簡単に警察庁と警視庁の違いを解説すると
- 警視庁(目黒警部や佐藤、高木所属):都道府県警察の1つ。東京都の警察組織
- 警察庁(黒田管理官所属):全国の警察組織(=都道府県警察)を取りまとめている
本当にざっくりと違いを説明すると警察庁は都道府県警察を指揮監督する国の省庁、警視庁は東京都の警察本部です。
服部平次や遠山和葉の父親が所属している大阪府警や、大和勘助警部が所属している長野県警も警視庁と同じく都道府県警察の1つです。
なので、警察庁所属の黒田管理官は国家公務員、警視庁所属の目暮警部は地方公務員になります。
ただし、ノンキャリでも警視正まで昇進したら国家公務員になりますが、警視正はノンキャリの頂点であり昇進出来るのは極々少数ですし、警視正まで昇進するには30代前半で警部になっている必要があるので既に40代後半の目暮警部は厳しいでしょう。
採用の難易度の違い
警察庁所属の人を「キャリア組」と言うだけあって、採用はかなり狭き門です。
警視庁では毎年1,100人ほど採用されますが、警察庁に採用されるのはたったの10人ほど!
キャリア組になるのは「東大に入るよりも難易度が高い」と言われているのも納得。
白鳥警部は実は超絶エリートなのです。
警察庁採用者は東大など一流大学生の中でも極一握りの成績優秀者
警察庁の役割
警察庁は、全国の警察組織の指導・監督を行う中央官庁です。
国の機関である警察庁は、警察制度の企画立案のほか、国の公安に係る事案についての警察運営、警察活動の基盤である教育訓練、通信、鑑識等に関する事務、警察行政に関する調整等を行う役割を担っている。
引用元:警察庁「第1章 警察の組織と公安委員会制度」
安室さんが探偵やバーボンではなく、公安の降谷として登場する回では日本に危険が迫っている時が多いのはゼロが警察庁所属として作者が意識して描いてるのかも知れませんね。
基本的に警察庁で働くキャリアの方は仮に出向しても組織の運営といった事務仕事が多いので、白鳥さんのように現場に行くなんてほとんどあり得ないそうです。まあアニメだからそこは目をつぶりましょう。
警察庁の警察機構図の1番上を見ると“内閣総理大臣”と書かれており、警視庁の警察機構図の1番上を見ると“都道府県知事”が書かれていて、そこだけ見ても違いがあることがわかります。
警察庁は都道府県警察を指揮監督するということなので、警察庁=警視庁の上司的立場と頭の片隅に置いておけば、コナンを見るとき色々理解しやすいかもしれません。(ゼロ執とかね)
警察庁(長は警察庁長官)は、広域組織犯罪に対処するための警察の態勢、犯罪鑑識、犯罪統計等警察庁の所掌事務について都道府県警察を指揮監督しています。
引用元:警察庁「国の警察機関」
警視庁の役割
警視庁は、東京都内の警察活動を担当しています。
警視庁の活動を見てみると、
- 「都民の日常生活を守る警察活動」
- 「交通安全対策」
- 「犯罪捜査と防犯対策」
- 「各種警備」
引用元:東京都「警視庁の活動」
ざっくりと言うと、東京都民の生活を守ってくれているのが警視庁。
なので、コナンの中で東京都内(米花町は東京にある設定)で事件が起こったときには高木刑事や佐藤刑事の警視庁メンバーが、他の都道府県で事件が起きたら群馬県でなら山村警部、大阪府なら大滝警部が登場するというわけです。
東京以外の事件で高木刑事や佐藤刑事が登場する回があるのはなぜ?
たまに東京以外で事件が起きたとき回でも、警視庁の高木&佐藤刑事が登場することがありますよね。
あれは東京都内で事件を起こした容疑者が
- 他の都道府県に逃走している
- 他の都道府県で逮捕された
という理由が考えられます。
例)名探偵コナンシーズン6の240話・241話「新幹線護送事件」
新大阪から東京へ向かう新幹線の中でコナン達は高木刑事と佐藤刑事に偶然遭遇していましたが、東京都内で事件を起こした容疑者が大阪で逮捕されたので、高木佐藤の2人が被疑者を連行するために迎えに行ったという理由でした。
原則として、その被疑事実の事件が発生した場所の警察署となり、捜査本部が置かれている場合は、そこに連行されるのです。
引用元:刑事事件弁護士相談広場「逮捕された刑事事件被疑者の連行先は?~警察署、留置場(留置所)などの施設~」
漆黒の追跡者で長野県警の大和警部や神奈川県警の横溝兄弟と各都道府県警察が警視庁に集まっていたのは、連続殺人事件がそれぞれの県で事件が発生したからです。
なぜ警視庁を東京都警察本部と呼ばないのか?
警視庁と警察庁と名前が似ていてわかりにくい!
なぜ“東京都警察本部”と呼ばないのかを気になって調べてみました。
警視庁の名前の由来
大阪なら大阪府警本部、神奈川なら神奈川県警察本部なのに、東京なら東京都警察本部と呼ばないのはなぜなのか?と思いましたが、警視庁の名称は、明治時代に設立された「警視庁「内務省)」から来ているのでしょう。
「警視庁」という名称は法律で定められているので、これからも警視庁を“東京都警察本部”とは呼ぶことはなさそうです。
都警察の本部として警視庁を、道府県警察の本部として道府県警察本部を置く。
引用元:E-EOV『警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)「警察法 第47条」』
安室さんはキャリア?それともノンキャリ?
結論から言います。
作者はキャリア、ノンキャリアを意識せずにキャラ作りをした。
キャリアでないとあり得ない、ノンキャリアでないとあり得ないエピソードが存在する。
あくまでもコナンワールドの話なのでどちらかに当てはめるのは意味が無い。
ただし、今後コナンワールドの超法規的措置でキャリア設定になる可能性は高い。
降谷(安室)さんがキャリアかノンキャリかを判断出来るエピソードはたくさんあります。
警視庁警察学校に入校している
警察学校編で降谷(安室)さんはノンキャリ組の松田陣平、伊達航、萩原研二、諸伏景光と警視庁警察学校に通っていましたが、キャリア組は警察大学校に入校するためノンキャリ組と警視庁警察学校に行くなんてことは絶対にありません。
また、どれだけ警察学校の成績が優秀でゼロにスカウトされようが、国家公務員総合職採用試験に合格していなければキャリアには絶対なれません。
キャリア警察官は警部補として採用されると、警察大学校の初任幹部科で4か月の教養を受けることになります。
引用元:「キャリアは警察大学校で学ぶ」
警備局の課長級以上はキャリア、準キャリア組が大多数だが、局員はノンキャリア組で構成される
この時点までは安室さんがノンキャリ組確定なのですが、それを裏付けるのがこの事実です。
課長級以上の役職はいわゆるキャリア組、準キャリア組で大多数を占める。警備局員は、警察官僚、警視庁及び道府県警察本部から出向するノンキャリア警察官で構成される。
引用元:Wikipedia「警備局」
現実世界でも安室さんのポジションは、警視庁などから出向したノンキャリ組です。(警視庁採用→警察庁出向)
そもそも公安とはいえ一部署の構成員にするほどキャリアの人数がいませんしね。
安室さんにキャリア設定が追加された?
ここまでは降谷(安室)さんはノンキャリ組だろうという予想でしたが、その後SDBや作者の年賀状メッセージによってキャリア設定が追加されていきます。
年齢:29歳
階級:警部
青山先生が降谷(安室)さんは「警部」と言っています。
脚本家の櫻井さんと「警部でいいんじゃね?」と決めました(笑)
引用元:「名探偵コナン JUSTICE PLUS SDB(スーパーダイジェストブック)」(青山剛昌先生への117の質問)p.192より
脚本家の櫻井さんと決めたということなので、ゼロの執行人のときに降谷(安室)さんをキャリア組と設定したのかな?と思います。
ゼロの執行人のシネマガイドでも、
僕の所属は「警察庁警備局警備企画課」だからね![1]
というセリフと一緒に、「キャリアの合格率は約1%で、偏差値77以上の超難関試験だという。降谷(安室)はおそらくトップクラスでの合格だったはず」と紹介されており、降谷(安室)さんはキャリア組とほのめかしてるんですよね。
もし仮に降谷(安室)さんが大卒ノンキャリと仮定した場合、任官から2年で巡査部長、更に2年で警部補、更に4年で警部への昇任試験が受けられるので、警部になれるのは最短でも30歳。
あくまでも理論上の最短というだけで、現実的に29歳で警部になるなんてありえませんし、定年まで勤め上げても現実的にほとんどのノンキャリ組は良くて警部補止まり。
いくら降谷(安室)さんが優秀と言っても、29歳で警部となるとノンキャリ組では昇任試験を受ける資格すらないのです。(それだけキャリア組とノンキャリア組の昇進のスピードは違う)
せめて警部補って言っておけば降谷(安室)さんは、超優秀なノンキャリ組ということで何とかつじつまが合ったのですけどね。
もうこれはどうやらアニメ世界の力技で警視庁警察学校に通っていたけど、何故か降谷(安室)さんはキャリア組になっていると考えた方が良さそうです。
*1…『名探偵コナン シネママガジン2018』(日本の警察)p.30
そもそも「ゼロ」って何?どんなことしてるの?
ゼロをさかのぼっていくと特別高等警察、いわゆる「特高」になります。
特高は戦後GHQの指令により解体されましたが、その代わりとして内務省警保局公安課(公安警察)が設置されました。
その後、所属やナカノ、サクラ、四係、チヨダなどとコードネームが変わり、現在の警察庁警備局警備企画課指導係に属する警察庁協力者獲得工作・特命作業指揮本部 コードネーム「ゼロ」になりました。
主な任務は全国で行われる協力者運営の管理と警視庁公安部・各都道府県警備部の直轄部隊(通称:作業班)への指示及び教育。
よくスパイ活動をしていると思われていますが実は真逆で、スパイ活動を監視・取り締まる機関です。
ゼロの執行人のときみたいにカーチェイスしたり、撃ち合いしたり、惑星探査機の帰還カプセルの軌道を変えたりはしません笑
ちなみにこのゼロを統括するのが“黒田管理官”なのではと考察されている通称「裏理事官」です。
安室さんは若いのにあんなに大勢の部下がいるのだからキャリア確定でしょ?
これはキャリア、ノンキャリというより公安警察特有の理由があります。
警察組織において、基本的に警察庁の人が都道府県警察の指揮を直接執ることはありません。
分かりやすく言えば、殺人事件の捜査現場に警察庁の人が行ってああしろこうしろ指揮することはないのですが唯一の例外が公安警察なのです。
公安警察だけは情報漏れのリスクを少なくするために、都道府県警察の公安部門を直接指揮下に置いています。
先ほども言いましたが、ゼロの仕事は警視庁公安部・各都道府県警備部の直轄部隊(通称:作業班)への指示及び教育です。
なので、ノンキャリだとしても作業班という部下がいても不思議ではないのです。
“警察庁所属の降谷(安室)から警視庁所属の風見に直接命令を下せるのは公安警察ならでは”
引用元:『名探偵コナン「BLACK+PLUS SDB(スーパーダイジェストブック) 」』(公安警察~警察庁警備局警備企画課~)p.175
まあ、現実世界ではゼロが作業班を引き連れて、テロリストと対峙するなんてことはありませんが。
どちらにしても降谷(安室)さんは超優秀
降谷(安室)さんはキャリア、ノンキャリア、どちらにしても超優秀なのは間違いありません。
そもそも例え都道府県の公安部ですら特別な成績優秀者しか行けません。
更に、警察庁警備局に引き抜かれるのは警察学校を主席クラスで卒業し、その後の交番勤務中に行われる入念な素行・身辺調査をパスした極わずかな人だけです。
例えノンキャリであっても超優秀なのは間違いないですね。
気になるコナンのあのキャラは警察庁?警視庁?
同じ公安でも降谷(安室)と風見は所属が異なる?
風見裕也は降谷(安室)と同じ公安警察でも、
- 降谷(安室):警察庁警備局
- 風見:警視庁公安部
と実は所属が異なります。
先ほど説明したとおり、降谷=ゼロ、風見=作業班ですね。
白鳥警部の所属は警察庁?警視庁?
白鳥警部は、黒田管理官と同じ警察庁所属のキャリアです。
高木刑事や佐藤刑事と同じ警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係所属ですが、
警察庁採用→警視庁の刑事部捜査第一課強行犯捜査三係に出向
しているというだけで、警察庁所属なんです。(黒田管理官も警視庁に出向している)
現実世界でもキャリア組が経験を積むため警部時代に警視庁に出向することはありますが、課長などの管理職に就き大抵すぐ警察庁に戻ります。
キャリアである白鳥警部が叩き上げのノンキャリ集団である捜査一課、しかもヒラ捜査員になるということは現実にはなく、年齢的には警視に昇進して捜査二課長に就いてもおかしくない頃です。
まあアニメだからそこは目をつぶりましょう。
そう言えば黒鉄の魚影でキャリア組の黒田管理官と白鳥警部の2人だけでパシフィック・ブイに向かっていたのは、警察庁からの指示があったからなのかも?
そういう深い考察をするのもコナンの楽しみ方のひとつですね。
あ、ちなみに白鳥警部と同期の“おじゃる警部”こと綾小路警部もキャリア組です。
綾小路警部も京都府警捜査第一課に出向しているだけで、所属は警察庁です。
スコッチこと諸伏景光は?
降谷(安室)さんと警察学校の同期であるスコッチこと諸伏景光は警視庁所属です。
つまり、風見裕也と同じ警視庁公安部の所属ということです。
黒ずくめの組織に潜入中は、同期と言えど降谷(安室)さんが諸伏に命令を下していたのかもしれませんね。
大岡紅葉の執事の伊織無我は?
から紅の恋歌で登場した大岡家の執事・伊織も元公安の人間です。
伊織は警視庁公安部の風見裕也と同期のようなので警視庁所属の公安だったのかなとも思ったんですが、黒田管理官が絡むのは基本キャリア組だけなんですよね。
長野県県警から警視庁へ移動してきた当初はほぼ降谷(安室)さんとしか絡んでいませんでしたが、最近は黒鉄の魚影やコナン104巻のチェス大会で白鳥警部とセットで登場することが多くなりました。
同じ公安部でも風見との絡みはほとんどないんですよね。(ゼロの執行人でも風見と直接会話している感じはなかった)
なので、黒田管理官が伊織と絡みが多いのも元キャリア組というのを匂わせているのかなという気もします。
から紅の恋歌でおじゃる警部と伊織が一緒に登場していないのは、お互いキャリア組なので顔見知りだったが映画公開時にはまだそのことを公表できなかったからと考えると“伊織・元キャリア説”の方がしっくりきます。
まとめ
警視庁と警察庁は、それぞれ異なる役割と機能を持つどちらも重要な組織です。
警視庁は地域に密着した活動を、警察庁は警察組織全体の指導・監督を行っています。
警察庁に採用されるキャリア組は毎年10人ほどしか採用されないので、雲の上の人。まさに天竜人のような存在です。
なので、現実では警察庁のキャリア組と警視庁の現場の人間が一緒に働くということもほとんどないということなので、白鳥警部のようなキャリア組が警視庁の人達と一緒に働くのはコナンの中の世界だけのようですね。
降谷(安室)さんがキャリア組なのか、ノンキャリア組なのかはまだ公式から正式に発表はされていませんが、もし今後描かれることがあるとすればノンキャリ組だったが何らかの超法規的措置でキャリア組になったという設定になる線が濃厚です。
もう少し詳しく青山先生がおっしゃっていた内容など詳しく知りたい方は名探偵コナンのスーパーダイジェストブックシリーズを読んでみてください。
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